医学的に「健康に良い食べ物」は5つしかない

「健康に良い炭水化物」とは、玄米、全粒粉、蕎麦のように精製されていない炭水化物のことであり、「健康に悪い炭水化物」とは、白米、小麦粉、うどんのように精製されている炭水化物(砂糖もこれに含まれる)のことである。

βカロテンを含んだ緑黄色野菜そのものは病気の予防に役立つと考えられているものの、緑黄色野菜からβカロテンを抽出しサプリメントとして摂取すると、逆に膀胱(ぼうこう)がんや肺がん(ただし喫煙者に限る)の発症率が高まることが、複数の研究によって明らかになっている。

リコピンに関しては有害であるという研究結果がないだけまだましかもしれないが、抽出されたリコピンを摂取することで病気を予防したり死亡率を下げたりするということを示した研究はない(リコピン摂取によって悪玉【LDL】コレステロールが減ったという小規模な研究が2007年と2013年に発表されたが、実際に脳梗塞などの病気を予防したという研究結果はない)

どのような「食品」を食べるのかが重要であり、それに含まれる「成分」にとらわれてはいけないということを教えてくれるよい例である。

「果汁100%のフルーツジュースが健康に良い」という考え方も正しくない。実はフルーツジュースと加工されていない果物とでは、健康に対する影響が180度異なることがわかっているのだ。

最新の研究によると、フルーツジュースを多く飲んでいる人ほど糖尿病のリスクが高い一方で、果物の摂取量が多い人ほど糖尿病のリスクは低いことが明らかになっている。

果物の中でも、ブルーベリー、ブドウ、リンゴを食べている人では特に糖尿病のリスクが低い。体重との関係においても、フルーツジュースを飲む人ほど体重が増加している傾向がある一方で、果物を食べている人ほど体重は減少していると報告されている。

医師や栄養士が正しいとは限らない

「でも、医者や栄養士がそう言っていたのに……」と思う方もいるかもしれない。専門の資格を持っていると正しいことを発信しているように見えるが、残念ながらそうとは限らない。

医学部ではあまり食事や栄養のことを習わないため、医師は食事に関するきちんとした知識を持っていないことも多い。2008年に行われた調査の結果、アメリカの医学部のわずか27%でしか最低限(年間25時間)の食事や栄養に関する授業が行われていなかったことが明らかになっている。

アメリカの医学部ですら、食事と栄養のことを十分時間をかけて教えていないことが問題視されているのだが、日本ではもっと遅れていると思われる。

栄養士は、「このような食事をすれば健康になる」というルールを一般人に指導することに関しては秀でているが、そのルールがそもそも本当に科学的根拠に基づく正しいものであるかどうかを判断するために必要な専門知識(統計学や疫学と呼ばれる学問)を持っていない人もいる。

また、「〇〇が健康に良い」という情報は、商品の売り上げに大きな影響力を持つため、科学的根拠のない健康情報がマーケティングの一環として利用されてしまっているという側面があることも忘れてはならない。

数多くの信頼できる研究によって本当に健康に良い(=脳卒中、心筋梗塞、がんなどのリスクを下げる)と現在考えられている食品は、①魚、②野菜と果物(フルーツジュース、ジャガイモは含まない)、③茶色い炭水化物、④オリーブオイル、⑤ナッツ類の5つである。

逆に、健康に悪いと考えられているのは、①赤い肉(牛肉や豚肉のこと。鶏肉は含まない。ハムやソーセージなどの加工肉は特に体に悪い)、②白い炭水化物、③バターなどの飽和脂肪酸の3つである。

つまり、白米や小麦粉を使った白いパン、うどんといった精製された炭水化物、牛肉や豚肉、バターは避け、玄米や全粒粉を使ったパン、蕎麦、魚、野菜、果物、オリーブオイル、ナッツなどに置き換えるということだ。

このような食事をすることで、脳卒中、心筋梗塞、がんなどの病気を減らし、健康を維持したまま長生きする確率を上げることができる。

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